地方転勤から学んだ問い

今メキシコで暮らしていることもあり
海外転勤のことについてばかり
触れてきたが

そろそろ
日本の地方都市への
転勤での経験についても
触れて行きたい

欧州から帰国した後
熊本に転勤となったことがある

九州には
親戚がいるとは言え
縁もゆかりもない場所であった

東京での生活に疲れたり
地方都市の魅力を感じ
自分の力で決めた移住とは異なり

仕方なく
地方都市へ移り住んだ

私自身は京都の出身である
京都も東京から見ると
首都圏外という意味では
大きな違いがあるが
三大都市圏を除くという意味では
初めての地方都市への移住である

実際
人口を比べてみても
京都の半分ほどしかいない

私にとって
失礼を承知で書くと
熊本は田舎だった

人生初の
日本の田舎暮らしである

最初は苦労の連続であった

同じ日本であるというのに
これほど苦労するとは
思ってもみなかった

まずは銀行である

これまで当り前のように
私が使ってきたメインバンクは
熊本市内に一か所
支店があるだけだった

コンビニで
お金が引き出せる時代でなかったら
もっと苦労していただろう

はじめて
地方銀行の口座を作ることから
始まった

ヨガやピラティスを始めたくとも
夜遅いクラスがなく
結局、通えない

勤務場所は熊本であったが
私の客先相手は
北米、欧州、東南アジアであった

時差がある以上
夜遅くに帰る日も多く
そういう時
不便さとストレスを
痛感した

病院も同じである

夜遅くまで
開いているところが
ほとんどないのだ

当然ながら
方言も耳にする

理解に苦しむようなことはないが
標準語を話す私は
第一印象からして
外から来た人であること
丸出しであった

井の中の蛙
大海を知らず

大海のマグロ
井戸を知らず

自分はこんなにも
世間知らずだったのかと
思わされる
地方都市生活の始まりであった

これまで
私が何の疑問も抱くことなく
暮らしてきた
東京の毎日は

実は
異常なものだったのかもしれない

約30%の人が住むと言われる
首都圏

割合だけ見ると
日本全体では
首都圏以外に
住む人の方が多いのだ

豊かな生活とは一体どのようなものかを
熊本での生活は
私にただ
問いかけるのであった

La Carrière -Mariko