送別会は笑顔で去りたいと
いつも思っているが
今回ばかりは
そうもいかないようであった
大変ありがたいことに
連日
部下や友人知人から
夕飯に誘われて
出かけている
中でも
部下たちが開いてくれた
送別会で
私は、泣かないと決めたのに
泣いてしまった
スタッフの家の庭で
バーベキューをしながらの
送別会は
私をメキシコ人として
送別したいという
みんなの想いが詰まっていた
メキシコの伝統的な
女性の15歳を祝うお祝い
キンセニョーラというイベントで
踊るダンスを皆と踊り
男性が好きな女性に
愛を伝えたり
プロポーズをする際に
行うイベントなのだが
自宅の窓の下に楽団を呼び
生演奏を聴かせる
セレナータ
これらのパーティの中のサプライズ
一つ一つに
メキシコ人スタッフからの
感謝の気持ちが込められていることを
ひしひしと感じられた
彼らは私をメキシコ人として
人生で一通り経験するものを
ここで経験して欲しかったのだと
言うのである
彼らにとって
私はただの日本人の上司ではなく
一人の仲間であり
メキシコ人の上司でもあったのだと
知らされた瞬間でもあった
その一つ一つが
本当にありがたく
嬉しい出来事であった
そして
パーティも終盤を迎えた時
スタッフの一人が
楽団を前に歌い始めた
その名も
Adios Amorという曲で
愛する人よ(もしくは愛よ)さようなら
という歌であった
有名な曲であったため
サビ部分で合唱が始まり
その途中で私は感極まって
涙があふれてくるのを
押さえられなくなったのである
そして私は泣きながら
そこにいるスタッフ一人一人に
ありがとうと言って
みんなにHUGをして
挨拶をすることになる
HUGとは日本では
愛情表現としか
見なされないが
やはり
気持を伝えるのに
最適な手段でもあると
痛感した夜でもあった
強く抱き合うと
それだけで
お互いの心が
通ったような気がする
それが涙をさらに加速させる
泣いて、泣いて
泣き止んだら
今度は
みんなで激しく踊り出す
この差が
またラテン系の人たちの
愛しいところでもある
私は間違いなく
ここで
メキシコ人として
日本人として
いや
人種を超えて
素晴らしい仲間に恵まれたんだなと
痛感した
長くて短い
夜であった
La Carrière -Mariko