涙は先に、流したい

私の家は、あなたの家です

この言葉を
私は毎週、もしかすると毎日
耳にしている

私が間もなくここを去ると知った人たちが
それはそれは
積極的に
自宅に招いてくれるのである

過去も、何度か
私のチームのスタッフの家や
実家などに
パーティなどで呼ばれて行ったことはあるが

帰るとなると
その速度が加速度運動的に増して
ありがたいことに
毎週誰かの家で
時間を過ごしている

日本にいる時も
時折
自宅に人を招いたり
友人の家に呼ばれたりする機会は
多い方ではあったと思う

でもそんな時でも
日本人の口から

私の家は、あなたの家です
いつでも帰ってきてください

と言われたことは
ほとんどなければ
自分から言うこともない
(泊まって行けば、というのはもちろんある)

スペインにいた時も
フランスにいた時も
オーストリアにいた時も

皆、口をそろえて言う

私の家は、あなたの家です
いつでも帰ってきてください

その言葉は
本当にありがたい言葉だなと
痛感する

遠い国にいても
あなたの居場所がここにあることを
忘れないでくださいと
言ってくれる人達がいる

世界はそんなに
悪いところじゃない

世の中のニュースで
見聞きする悪い噂や評判もあれば
危険だとか危ない国だとか
そういう場所も
確かにあるには、ある

でも
世の中は
そんなに酷いものではない

もし
ずっと日本で
東京と京都しか知らずに生きていたら
私は
こんなことを
自分の口から
伝えられたとは
思わない

でも
世界中の人々の心は
皆、同じなのだ

日本だと物理的に土地が小さいため
なかなか都内の自宅で
いつでも泊まりに来てくださいと言うのは
現実的に難しいかもしれないが

日本人だって
気持は同じである

私の家は、あなたの家です
どうか
忘れないでください
遠く離れたこの土地にも
あなたのことを思い、考えている家族がいることを
忘れないでください

その言葉を日々
胸に刻みながら
私を受け入れてくれる人々に
感謝の気持を届けたい

お別れの時は
間もなくである

でも、その前に
涙は全部流しておきたい

ここを去る時は
母になるぞという
強い決意と共に
笑顔で
また帰ってくるよと言って

この土地を
後にしたいからである

ハイヒールコンサルティングの卒業と
メキシコ生活からの卒業

私の中で
2020年の6月は
大きな節目になる

La Carrière -Mariko