街から人気が消えた日

メキシコは案外知られていないが
合衆国である
従って州によって政治経済の支援の取り組みや
免許制度なども変わってくる

私が住んでいる街の属する場所で
外出自粛を
州知事が流したことで
街は一気に静まり返った

まずレストランが閉鎖になった
バーなども営業を辞めた
さらに一部のホテルが休業になった

スーパーから
物資が減り始め
併設のカフェが営業を辞めた

こうした状況に
ようやく人々も
なんとかしなければと言う
感覚を感じるようになってきた

日本では
あまりたくさんの人が
使用していなかったが

メキシコのどんな屋台にでも
ほぼ設置されているのが
いわゆるサニタイザーである

2009年
メキシコで流行った
豚インフルエンザ(H1N1型)をきっかけに
人々は日々の生活に
サニタイザーを使うようになった

そもそもタコスは
手で食べる物である

手で直接食べ物を掴むため
清潔でなければならないことを
過去の経験から学んだということである

会社の食堂や
屋台の片隅にも
必ずサニタイザーが置かれている

街中から
サニタイザーが消えつつあるが
メキシコ人にとっては
生活必需品の一つでもある

人々が自宅にこもり始めると
カップヌードルやパスタなどの
いわゆる日持ちする食品が
売れていく

メキシコ人の食卓に
欠かせないものの一つでもある
フリホーレスと呼ばれる
豆のペーストがあるが
これの缶詰や材料も
一部のスーパーで
売り切れている

私は自宅の冷凍庫を眺めながら
まだしばらくは大丈夫かなと
なぜか
そう思った

スーパーから生魚が消えたが
冷凍の魚もいつくかある
炊いたお米も常備している

唯一つらいのは
誰とも喋らない日
誰とも会わない日が
来るかもしれないということである

やはり私は人が好きなのだ

人生を一人だけで生きていくのは
不可能である
仮に物を買うと言う行為だけだっとしても
誰かとのやり取りが
必ず発生する

今の社会構造に
正しいとか間違っているということを
言うつもりはない

人とのかかわりを
完全にシャットダウンして
生きることの難しさを
再認識させられた

早く街に
人が帰ってくる日を
迎えることを
心から祈りたい

La Carrière -Mariko