遠く、遠く

遠く、遠くというタイトルに
覚えのある人も
多いのではないかと思う

槇原敬之という
日本人のシンガーソングライターが
このタイトルで
曲を書いているからである

高校生の頃
クラス対抗の
合唱コンクールで
歌った歌でもある

そして
私の母校で先日
同窓会があったということを
今更ながら
思い出した

同窓会で
会いたい人
会ってみたい人は
星の数ほどいる

でも
実際会ってみたところで
その後
長く続く友情を
再度構築できるのか想像してみると

私には難しいかもしれない
とすら
思うのだ

学校を出てから
二十年以上が過ぎた今

日本での生活もだが
それ以上に
海外での生活は
私の人間性や精神面を
強く、たくましく
そしてしなやかに
鍛えてくれた

その結果

新しい出会いもあれば
失った出会いや友情も
数知れず、なのである

たくましいことは
決して
良いことばかりではない

でも
私はそれでも
さらに強く、しなやかでありたいと
願ってやまないのである

だからこそ
遠く離れている方が
心地よい距離である
友情もあって良いと思うのだ

あの人が無事であること
どこであれ
幸せに暮らしていること
それが分かれば
それだけで良い人も
存在して良いと思うのだ

遠く、遠くという曲を歌っていた頃の私に
ハイヒールの面影など
どこにも、ない

だから
同窓会に行けないことを
悲しいとか
悔しいとか
思うこともない

ただ
みんなが無事で
幸せであることを
知ることができれば
それで良い

人生とは
本当に何がきっかけで
大きく変わるか分からないものである

だからこそ
今目の前の毎日を大切にしたい

だからこそ
毎日の変化を
挑戦を
大事にしなければならいのである

ハイヒールと生きる毎日は
そんなことを
私に教えてくれているようだ

だから

遠く、遠く、離れた友人たちへ
私が無事であることと
ハイヒールと共に生きていることを
知らせることができれば

それだけで
幸せなのかもしれないと
メキシコの地で想いを馳せ
いつもと同じ
静かな朝を迎えるのだ

いつもと同じ朝は
実は二度とない

だから

今日という日を大切に
今という瞬間を大切に
歩く一歩を大切に

生きて行きたい

La Carrière -Mariko