物事が予定通り進まない時
特に
よく遭遇するのが
天候や機材のトラブルなどによる
飛行機の遅延の際
苛立ったり
腹を立ててしまったりしては
負けである
先週
夫のところへ向かうフライトは
到着時間にして約3時間遅れ
離陸前、実に4時間強も
機内に閉じ込められていた
クーラーも効かず
ただ止まった飛行機の中に
じっと座っていることの辛さは
ご想像いただけるのではと思う
お陰でASAMIさんや夫に
多少の迷惑をかけてしまったことは
言うまでもない
しかし
このフライトに乗り合わせた
ラテンアメリカ圏と言おうか
カリブ海域と言おうか
何事も楽しもうとする
人々の底抜けの明るさに
助けられた
貴重な時間でもあった
まずはキャプテンである
一度滑走路からゲートに戻ることとなり
乗客の誰もが
飛行機を降ろされるのかと
想像していたところ
キャプテンが客席に向かい
マイクで語りかけ始めたのだ
さらにその後
彼は後方座席まで歩いて
乗客を励ました
そして
極め付けは
皆さま、良いニュースです
飛行機は明日飛びます
というのは冗談で
あと30分で
飛び立てる見通しが立ちました
とのアナウンスである
乗客一同
安堵の笑いと苦笑が混じったが
みな
その一言で元気を取り戻し
無事にアメリカを
飛び立つことができた
人の上に立つということは
リーダーシップも必要だが
こうしたユーモアのセンスも
大切である
日本の航空会社で
こんなことを言おうものなら
その側から
投書の嵐だろう
マニュアルにあることだけが
人々の心を掴むことはない
キャプテンの人柄が
乗客の心と雰囲気を
ガラリと変える瞬間を
目の当たりにした
キャプテンは黒人の
明るく陽気な
笑顔の素晴らしい人であった
私と隣り合わせた人々は
自国へ帰るフライトであった
彼らとは
キャプテンの粋なアナウンスに
顔を見合わせながら
笑い合い
励まし合った
機内には
焦燥感が漂う人も
確かにいたが
機内のムードが
一度に明るくなった瞬間でもあった
フライト遅延の経験は
できればあまりしたくないが
今という瞬間を楽しみに変える
そんな力の素晴らしさと
リーダーシップの持つ力を
改めて学んだ時間でもあった
La Carrière -Mariko