パリ時代の元上司へ、寄せ書き

私のとって
パリとの思い出は
大きく分けると
二つの時代がある

一つ目は
バルセロナに住んでおり
パリへ出張へ
毎月通っていた時

二つ目は
実際にパリに住んでいた時

その二つの時代

特に一つ目の時代の間

パリには
闇の大魔王という
あだ名がついたかもしれない
そんな上司が
君臨していた

フランス、イタリア、スペインと
三か国で
協力しながら
仕事をすることも多く

三か国の人々と
いつも悪の帝王だとか
黒の皇帝だとか
そんな風に
上司のことを
呼んでいたことを
懐かしく思う

そしてそんな闇の大魔王も
ついに定年を迎え
会社を卒業することになった

実は闇の大魔王は
人情味も溢れた人でもあるのだが
仕事面だけ切り取ると

確かに
ダースベイダーだとか
魔王だとかいうあだ名を
付けたくなるような人でもある

そんな彼に
フランス、イタリア、スペインの
同僚たちと共に
寄せ書きを書いた

デジタルの寄せ書きは
手書きのような味わいはないが

こうして時間と場所を超えて
誰かの想いを
届けるツールでもあり

久しぶりにまた
エッフェル塔の下で
合宿をしたいね
などと

書きながら
くだらない話題で
盛り上がることができた

今にして思うと
パリの苦しい時代の思い出は
輝かしいものかもしれないとも
思えるのは

今の自分が
その時代を肥やしにして
成長を遂げたからかもしれない

La Carrière -Mariko