コーヒーが教えてくれたこと

私はコーヒーが好きである
エスプレッソを飲むこともあれば
薄い薄いアメリカンコーヒーを
好んで飲むこともある

カフェインを減らそうと
ある日思い立ち
コーヒーの量を減らしてみることにした

飲まないことは
以外と簡単であった

唯一の問題は
コーヒーの香りである

誰かが飲んでいると
ついつい
自分も飲みたいという気持ちに
火がついてしまうのである

カフェインは
コーヒー以外にも含まれている
紅茶や緑茶が
その代表例である

子どもの頃
小学校の調理実習で
クッキーを作ったとき

飲み物はなぜか
コーヒー以外を指定される

子ども心に
おかしいと思っていた

確かにコーヒーは
紅茶よりも
カフェインの量が多い

しかしそれは
一定の水量を比べた場合であって
飲む水の量は
加味されていないのである

子ども心に
学校の先生は
あまり賢くないのだろうかと
疑ったものだ

世の中で真実と思うことを
学校が教えているとは限らないと
気付いたのは
この頃からであった

つまり
小学校三年にして
私はすでに
世の中を疑うことを
知っていたのである

きっと
多くの子供たちがそうであろう

でも、みんな
言えないでいるのである

そしてそのまま
大人になるのである

真実というのは難しい
そして間違っていると思っていても
その価値観を覆すのも
簡単ではない

でも
価値観をひっくり返すことが
世の中にはいっぱいある

赤信号さえも
守るのが正だとは言えないと
時折、思う

本当に危険な場所では
赤信号で止まるな、と言う
止まった瞬間に狙われるからである

大事なのは
そういう多様な価値観があることを知った上で
常識を学ぶことである

私にとってコーヒーは
そんな価値観を教えてくれるものである

今日はカフェイン抜きで過ごせそうであるが
明日は
食後にエスプレッソくらい飲もうと
密かに心に決めるのであった

La Carrière -Mariko