雨季と道路の穴

雨が降る季節がある
それを雨季と呼ぶのだが
私にとって
雨季は鬼門である

それは

メキシコの雨季名物が
道路に突如現れる穴だからである

幹線道路の真ん中や
端から端の至る所に
穴が突如、現れるのである

道路事情は悪く
普段から多少、道路に穴は開いているのだが
雨季に入ると
修復で直したはずの穴が
再度待ち構えていたかのように
開くのである

車を運転している人にとって
穴は天敵である

スピードや入る角度によっては
突如パンクし
動けなくなってしまうのだ

そういう私も
すでにパンクは経験済みである

複数回あったが
幸いにも
勤め先のそばであったため
助けを呼んで
タイヤ交換を手伝ってもらった

歩道もそもそも
穴が多い

石畳のところもあるが
全体的に作りが荒く
気を抜くと
ハイヒールはあっという間に
穴の中に吸い込まれてしまうのである

こちらは雨季だからと
穴が増えるわけではないが

いずれにしても
メキシコの道は
穴だらけなのである

雨季に穴が再度開くのも
雨や水が地層に入り込み
修復したはずの道路を持ち上げたりするのだと
人から聞いたことがあるが

いずれにしても
これからの季節
運転も歩行も
いつも以上に気を付けなければならない

時に大雨のため
マンホールが外れ
底なしの穴が開いていることもある

こういう時は
大体の場合、洪水のように
周囲が池か湖のようになっているものだ

これがさらに状況を悪化させている

一体どこに穴があるのか
さっぱり見えないのである

排水が悪い地域では
スコールのような雨が降ると
たちまち
周囲一帯が洪水になる

一度タクシーで立ち往生し
飛行機を乗り逃したこともある

雨季のメキシコは
穴に注意、である

ハイヒールで歩く時も
穴や路面に注意をするが
運転している時も
同じ気持ちでいなければ
気が付くと
底なし沼に落ちていることも
ありうるのである

雨は生活に必要である
水不足にならないためにも
雨には降ってもらいたいが
できれば
穴にははまりたくないものだ

La Carrière -Mariko