出張のご褒美

長い移動に
疲れを感じることも多く
生活のリズムが崩れるため
出張は嫌いではないが
多すぎるのは困りものである

今回はトラブル対応という
なんとも大変な出張ではあったが

一方でとても得るものの大きい
出張でもあった

いつもはセルジオロッシで出かけるのだが
ルブタンを久しぶりに出してみた

メキシコは決して安全な国ではない

一年ほど前から
日系の航空会社が直行便を飛ばすようになったのだが
客室乗務員の女性たちは
街中でのハイヒールとスカート着用を
禁止されていると言う

正直、一理ある

いざと言う時
スリや盗難、強盗に襲われた時に
逃げたり怪我をしないためでもあり
外観から女性と分かるため
襲わるリスクを下げるための
予防策でもある

かくいう私も
通いなれた場所やよく知った場所では
ハイヒールを身に着けるが

場所を鑑みて
安全ではないと感じる場所では
ハイヒールでは行かないように
心がけてはいる

今回は通いなれた場所への出張であったため
仕事でハイヒールを身に着けることができる
貴重な機会とばかりに
ルブタンを持ち出したのだ

狙われないようにするため
時計もいつしか
付けなくなった私だが

ハイヒールくらいは
好きなものを身に着けたい

飛行機を降りる際
婦人からいつもハイヒールなのかと
声をかけられた

出張で出かける際は、と答えると
素敵ねぇ、私には無理だわと
彼女は笑顔をくれた

太陽のような
明るく
とても素敵な笑顔であった

メキシコ人も
お洒落に気を使っているが
確かに
ハイヒールやシックな美しさとは
無縁の人が多い

付きぬけるような青い空と
照りつける日差しに
対抗するかのような
カラフルな色遣いが
特徴でもある

どちらかというと
ぽっちゃりした体型の人が多く
ピンヒールを身に着けている人は
まだまだ少数派である

いつの日か
彼女たちにも
ハイヒールで美しく歩くことを
伝えなければと
改めて思わされたのである

そんな会話のあと

ホテルに着いてみると
海の見える美しい部屋に通された

トラブル対応にしては
上出来な出張である

海に沈む夕日を眺めながら
ブログの構想を練る時間ができるとは
なんと幸せな一日であろうか

さらに
出張先では
時差があったため
ASAMIさんとのコンサルティングの時間を
急遽、変更していただいた

朝焼けの空の元
静かな海の音に身を委ねながら
コンサルティングの時間を過ごした

画面越しのパリからやってくるエネルギーと
海からもらった新しいエネルギーが
自分の中で
融合していく
新しい時間となった

生活のリズムが崩れることが
今の私にとっては
最大の難点だと思っていたが

出張先からのコンサルティングも
いつもと違う
新しい何かを
産み出してくれたようだ

これこそ
出張のご褒美と言えるだろう

La Carrière -Mariko