可愛いではなく、美しく

新入社員の男性たちが
携帯電話を見せ合っていた
彼女の写真を見せてくれと
せがんでいる同僚と
見せたあとに

可愛いじゃん

と声をかける同僚

その姿を見ながら
大学のような風景に
仕事中とは言え
心が和む

ただ
可愛い、という言葉が
私は気に入らなかった

可愛いという言葉は
なんだかとても
ずるい表現なのである

可愛いねと言われて
嫌だという女性は
早々いないだろう

ただ
私は可愛い人には
なりたくないのだ

ずっと格好良く
ハンサムでいたいと
思っていた

だから
可愛いなどと言われるのは
本当に苦痛でしかないのだ

ハイヒールのコンサルティングを終えて
私が私について
気が付いたことがある

それは可愛いのではなく
美しくありたかったのだと
いうことである

ハンサム、格好良いという言葉は
美しいという言葉の
私なりの解釈だったのかもしれないと
思うのだ

可愛い、というのは
辞書によると

小さいもの、弱いものなどに
心引かれる気持ちをいだくさま

愛情をもって大事にしてやりたい
気持ちを覚えるさま

と、ある

小さくて弱い存在ではなく
強くしなやかで
大きな存在となりうる美しさを

私が求めているのは
そういうものなのだと

ルブタンと向き合うことで
学んだのだと思う

La Carrière -Mariko