ザウワークラウト

大人になってから
食べられるようになった食べ物に
ザウワークラウトがある

ようはキャベツの酢漬けで
発酵食品なのだが
私はこれを食べたいと
小学生の頃から夢見ていた

武器よさらば、という
トルストイの小説のラストシーンで
主人公が食べるものが
ザウワークラウトで

この本を読んでから
ずっと憧れがあった

大学生の頃
初めて訪れた欧州大陸の中の
一つの国がドイツで
どうしても食べたかったのが
ザウワークラウトであった

結果は惨敗であった
こんなに不味い食べ物が
世の中にあるのかと
思ったほどであった

その後
気がつくと
欧州大陸と縁の深い人となり
ドイツやオーストリアに
出張で足を運ぶ回数も増え
さらには住むに至る

その間に味覚も発達したようで
今では好きな食べ物の一つでもある

子どもの頃の
異文化への興味や関心から
苦手と思ったものも
歳を重ねることで
理解を深められることもあるものだと

酸味の深いザウワークラウトが
教えてくれた

La Carrière -Mariko