パリに行くことは
当時の私にとって
地獄のような出張であった
今でこそ
もしかすると
パワハラとか
そういう言葉で
片付けられたかもしれないが
フランスへ
パリへ足を踏み入れることは
徹夜も覚悟の
大変な仕事が待っているという
意味でもあった
その仕事に挑む時
私たちは合宿だ、などと言って
笑いを見出そうとしていた
そんな出来事から
10年あまり
パリ合宿に参戦していた
仲間たちと久しぶりに会う機会があった
皆、フランスのあと
スイスに家族で移った人
ロシアや中国へ行った人
メキシコへ行ったり人など
それぞれが
世界各国を飛び回り
今奇遇にも日本にいるという
不思議な組み合わせであった
パリでの苦しかった日々も
今となっては
人生の、仕事の糧の一つであり
あの時代がなければ
今の我々はないことを
確認し合って
再会を誓った
エッフェル塔を眺めながら
もがき苦しんだ日々を
私は忘れないと思う
そして仲間たちもまた
忘れないと言うのだから
濃厚で
何者にも変えがたい思い出が
パリという場所であることを
互いに再認識する夜でもあった
La Carrière -Mariko