フレンチレストランにて

小さなフレンチレストランに
足を運んだ

都心ではなく
郊外にある
夫婦がオーナーの
小さな店である

COVIDの影響を加味して
一日に一件しか
予約を取らないという

ほぼ貸し切り状態で
私たちはフレンチの
フルコースを楽しむことができた

やはり
フランス料理は美味しい

もちろんシェフも
フランスで修業経験があり
ワインもこだわっているような
お店である

時々
無性にフレンチが食べたくなる
しかもそれは
街によくある地中海料理や
スペイン料理やイタリア料理などと
混ざったものではなく

Authenticな
本物のフレンチを
食べたくなるのである

その日は羊のローストを頼むことにした

羊料理も
フレンチで食べると
味に深みがあると
感じられる

素材を生かしたものが多く
このレストランのラムは
ミディアムレアで
食べるのが美味しいと
私は思っている

テーブルマナーについて
人生の中で
学ぶ機会がある人もいれば
ない人もいる

自然と身につくものの一つでもあると
いう人もいるが

それでは指先にどれだけ意識を込めて
食べ物をサーブしているのかと
聞きたくなってしまう

私がパンを取る手を見て
ワインを持ってきたスタッフに
手先が美しいですねと
一言
声をかけられたのである

手先の美しさ
それは手が荒れているかどうか
指先に
ネイルをしているのか

そんなことで
判断されることではない

動きを見て
それに目を奪われたのだと
彼女は私に告げた

思いもよらぬ一言に

ありがとうございますと
私は答えて
笑顔を返した

フォークとナイフで食事をとると
両手を使うことになる
お箸での食事は
主に利き手が主役であるが

両手を使うということは
指先をいつもよりも
二倍
意識を入れなければならないということでもある

都会でもなく
郊外の
日常の小さな風景の中にも
美しくあることが
通じる人がいるのだなということを
思い出させてくれた
素敵なひと時であった

そしてさらに
フレンチを食べに行くことが
好きなるのである

La Carrière -Mariko