部下たちとのお別れ

昨日海に行こうと
決心したはずだったが

まだキャンセルできるとの連絡があり
やはりキャンセルすることにした

この時期
海辺のビーチには
アメリカや欧州からの
旅行客が来る

残念ながら
世界中
マナー違反と言おうか
自分だけは大丈夫と思う人が
国境を閉鎖していないメキシコへ
押し寄せるというわけである

そんなわけでホテルから
ご丁寧にも
連絡をいただいたので
これはキャンセルすべきと判断した

(誤解のないように追記しておくと、海は車で行ける距離である)

特にメキシコ国内からの
お客様に
感染のリスクを背負ってもらいたくないと
それはそれは
ご丁寧な対応であった

本当は気分転換が必要だと
私は知っている

ここのところ仕事が
煩雑化しているためである

先月末
都会のオフィスの最終日というタイトルで
部下とのお別れを綴ったが

3月末で
たくさんの部下たちが
私のもとを離れて行った

人材育成に力を注いできた結果
の記事に書いた現実が
目の前に迫ってきた瞬間であった

会社が決めたことである
退職金を上乗せして
自主退職を募ったのだ

自主退職の公募発表のあと
部下たちから
アドバイスを求められた

退職金を知りたいけれど
聞きに行くと
今後の会社での立場に
悪影響があるのではないか
などと
みんな憶測しているのが
すぐに分かった

私はこう言った

提示される退職金の額は
現時点の
自分の意思と関係なく
聞きに行けば良い
会社があなたのことを
どのような価値を持っていると思っているのか
知る材料になるでしょう?

その言葉に
私のチームは安心の表情を浮かべ
全員が退職金の金額を聞きに行った

決断をするのは私ではない

部下の一人ひとりなのだ

だから
彼らが自分で決められるように
導いていくのが
上司の仕事であるべきだと
私は思っている

部下たちとのお別れは
想像以上に
あっけないものであった

私自身も
なぜか涙一つ
流さなかった

寂しいとか
悲しいとか
そんな気持ちすら
湧き上がってこなかった自分が
ロボットになったのではないかと
思うほどであった

多分
私は自分が残した結果に
満足できたのだろうと思う

自分で自分のことを
決めるには
本当に勇気がいる

でも
それだけのことを
決められる能力を
身に付けてもらうことが
できたのだから

そう考えると
彼らが私のもとを去るのは
寂しいことではなく
嬉しいことでもあるのだ

COVID-19の影響で
HUGもKissもできなかったが
みんなは
さようならの代わりに
またねと言って
オフィスを
私のもとを
って行った

人事異動というものが
頻繁にある会社も
ない会社も

人が動くことで
流動するからこそ
得られる躍動感が
必要な時がある

そしてそれを生み出すのは
まぎれもない
管理職の仕事の一つではないだろうか

去り行く人たちに
卒業おめでとうと
声をかけて

新しいメンバーも
果敢に育てようと
心に誓った

動くことで
世界は、変わる

La Carrière -Mariko