都会のオフィスの最終日

長い歴史があったわけではない
それでも
いつでも
オフィスを閉めることは
寂しい出来事の一つである

今回
私の働く会社も
出先のオフィスを
一つ
閉めることになった

これで出張に行く回数が
減るという
メリットが
私にはあるかもしれない

でも
やはりそれでも
寂しいものがある

転勤を余儀なくされる人たち
仕方なく退社を選んだ人たち
私のチームも様々である

一人一人の人生を
仕事で、会社で、縛るわけにはいかないのだ

所詮、仕事は人生の一部である
会社も人生の一部である

大事なのは
いかに人生を生きるのか
そしてその人が
自分らしさを大事にしながら
どのように生きていきたいのかを
考えて
行動に移して行くことである

親権を争っている裁判の真っ最中の彼女
子どもを産んだばかりの彼女
筋肉バカのボディビルダーの彼や
優柔不断で心変わりしやすい彼

皆それぞれの事情や背景
性格や心を持っている

明日から私のチームを離れる彼らに
私はエールを送りたい

それぞれと働くことができ
メキシコの地で過ごした時間は
私の一生の宝物に違いない

明日から違うチームで働く人たちが
いつの日か
私やその仲間たちと働き
学んだことや経験したことが
何かの役に立ったのだと感じてくれることを
願ってやまない

明日からは
新しいチームで
これまでの仕事以上の
仕事をやり遂げよう

そのためにも
心からの笑顔で
皆を送り出したい

都会のオフィスに来る時だけは
ハイヒールが許された

私にとって
自分の人生の一部ともなった
ハイヒールを身に付ける場が減ることは
残念ではある

しかしこれはきっと
必然である

私はもっと
ハイヒールを長く履ける場所に
そのうち
飛び立つのだろうと
なぜか
そう感じるのであった

La Carrière -Mariko