私の親せきに
テレビでしか見たことがないほど
典型的な関西人のおばさまがいる
関西人というよりも
大阪のおばさま、という方が
正しいのかもしれない
彼女はとにかく頑固である
元気で明るくて
自分をとても大事にする人ではあるが
性格も勝気で
とにかく自分の価値観を
曲げることがない人である
私の知る限り
人生で
海外旅行へ行ったことも
ハワイに2度ほど
行ったくらいであったと思う
ウィーンに住んでいる際に
私の家族と共に
彼女も遊びに来てくれた
約1週間に渡り
ウィーンやザルツブルクを案内した
その際に
彼女が
帰り際に言ったこと
この私が言うのもなんやけど
ほんまに、ちょこぉぉぉっとだけ
物を見る目が変わったっちゅうか
そういう気になったわ
ありがとう
というセリフであった
頑固すぎる彼女の口から
物の見る目が
たったほんの1ミリでも
変わった気になるなんて
台詞が
まさか聞けるとは
誰も思っていなかったことである
たかが海外旅行かもしれない
でも
そんな旅からも
価値観や物の見方が変わる
わずかな経験を
することが可能であることを
私は彼女の言葉から学んだ
彼女はすでに70台後半であった
そんな70年も生きてきた価値観に
たとえ1ミリであったとしても
新しいモノの見方を
付け加えられたのであれば
これほど幸せなことはないと
思った
だから
たとえ週末だけであったとしても
隣の国を
見に行くという行為には
大変意味があることを
覚えておいて頂きたい
コロナの騒動が終わり
世界がまた
その扉を開く日を
心待ちにしているのは
私だけではないはずだ
La Carrière -Mariko