ルブタン店舗での素敵な時間

日本に出張していたのは
気が付けば
一か月も前の話である

その際に隙間時間を使って
松屋銀座のルブタンに訪れた

日本を離れて
4年目の生活

そのうち
日本に帰ることになるか
他の別の国へ
転勤になる可能性も
ゼロではないだろう

そんな思いから
免税で買える
最後のチャンスかもしれないとも
内心思っていた

冬に帰国した際に
ビジネス使いの85ミリも買うつもりだったが
あいにく
品切れになっていた

そして
今回まさに85ミリの黒のものを
買い求めにやってきた

店員にこれと同じものをと
履いている自分の足元を見せると
分かりましたと
すぐ靴を探しに行ってくれた

驚いたのは、店員から差し出された
同じサイズのものを
足に入れてみたところ
どうも大きく感じてしまうことであった

いつ頃買われたものなのですかと
履いているルブタンを指して
質問される

2011年か2012年だと思いますと答えると
店員は、感嘆の声を上げた
綺麗に履いていらっしゃいますね
とのことであった

それもそもはずだろう

私はこのヒールを
大切に思うが故に
ハイヒールの歩き方を
パリで習い始めたのだから

店員からのお褒めの言葉もありがたかったが
何より実は
松屋銀座のルブタンが
日本で初めての直営店なのだという
話を聞けたことであった

サイズの違う靴を
店員が持ってきてくれる間に
10周年を記念した
お菓子とドリンクがサーブされた

クッキーのデザインは
ルブタンにとって象徴的なモチーフの一つ
パンジーであった
今年の新ラインにもパンジーが使われている

店員とルブタンの歴史や魅力について
話をすることもとても興味深い
時間であった

どうも靴の型も
数年に一度は作り変えているとのことで
今身に着けているものよりも
0.5サイズ小さいものを購入することとなった

こうして、無事に
私は仕事用のルブタンを
手にすることができた

ハイヒールを愛している方なら
ご経験がおありかもしれないが
靴が足になじみ
最高にぴったりとしている瞬間は
本当に心地いい

だが
皮で出来た靴の運命でもあるが
靴が少しずつ
大きくなってしまうのも事実である

今、まさに履いているルブタンとは
本当に今、まさに最高の相性である
ということは
そろそろ次の相棒を育てなければ
足になじむまでに
相当の時間がかかることを
私は経験から知っている

だからどうしても
時間を割いてでも
手に入れたかった

そして私はどうして冬に
手に入らなかったのか
なんとなく理解した

銀座松屋のルブタンで
その歴史に触れる時間
瞬間を
味わうためだったのだろう

次の靴もまた
ここで買うことにしようと
密かに心を決めて
私はルブタンを抱いて
店を出たのであった

La Carrière -Mariko