多様性という言葉の通り
私のチームには
LGBTのスタッフもいる
彼は美しいものが好きなのだという
私がハイヒールを履いていると
溜め息をついて
見とれてくれる
外出の予定がある日
赤いルージュをひいて
オフィスに現れた私を見て
美しい、と言った上で
彼は自分もぜひ化粧をしたいと
私にルージュを持ってきてほしいと
せがむのであった
化粧も好まれない職場で
是非化粧をしたいと
男性スタッフに言わせてしまうとは
私も困った上司である
結局
後日、プライベートで会う時に
ルージュを持って行くことを約束し
その場を凌いだ
彼の美しくなりたいという気持ちや
美しいものが好きという思いの純真さに
時折
私は驚かされる
美しくありたいという思いは
女性だけのものでないのだ
性別を超えて
魅了するもの
それが美ではないか
そんなことを
考えさせられる
美しくあることは
何も
女性だけの特権ではない
美しくなりたいという思いも
女性だけの特権ではないのだ
美しくなりたいと願い
美しくなるための努力をする人に
性別は関係がない
私のスタッフは
自らが美しくなることよりは
美しいものを見ている方が好きなようだが
美に対する執着心は
女性以上であるともいえる
私がハイヒールで歩く姿が
毎日進化していることを
そのうち彼も
気付くであろう
彼の目の前で
ハイヒール姿をお見せする機会が
少ないのは
残念なことではあるが
美しくなりたい
美しくあること
その気持ちに
国境も性別も
関係ない
美というものは
それほど
尊いものでもある
La Carrière -Mariko