地方都市ならではの生活スタイル

熊本暮らしで
私が最も愛していたこと

それは
温泉に入ることである

自家用車に
お風呂セットを積んでおり

毎晩
仕事のあと
家に帰る前に
温泉に寄ってから
帰宅していた

そして
家のお風呂を使うことが
ほとんどなくなった

新築で入った家だったが
シャワーの出が
あまり気に入っていなかった
もう少し
勢いがあっても良いのではと
思っていたのだが

その不満は
温泉に通うことで
一気に解消されてしまった

熊本の温泉は
かけ流しが基本である

つまり
常に新鮮なお湯に
つかることができるのだ

私はお風呂が大好きである

メキシコの自宅には
湯船がないため
自作でポータブル湯船を作り
時々
楽しんでいるほどである

お風呂は本当に
気持ちが安らぐ場でもあった

特に温泉には目がない

地球から湧き出る
豊かな水の資源と
熱の力を
肌から吸い込んでいるような
そんな感覚が

とにかく
癖になるのである

仕事のあと
湯船につかりながら
地球とつながる

そんな時間が
私の至福の時であった

同じ温泉に
同じ時間に通い始めると
顔なじみの人もでき始める

そして見ず知らずの人にも
話しかける人が
出てくるのである

温泉は熊本の人々の
日常風景であった

決して特別なものではなく
普段顔を合わせる人と
再会する場所であり
家のお風呂の代わりとなる場所でもあった

家のお風呂を使わない

そんな生活が
そこにあるとは
想像もしなかった
生活スタイルであった

La Carrière -Mariko