生まれて初めて
ウィーンのオペラ座で観たオペラが
ワーグナーの
Der fliegende Holländer
さまよえるオランダ人
であった
当時の私には
大変難しく
一度に
ワーグナーとオペラが
苦手になった
オペラ好きの人たちから
好きな作品を見つけるまでは
観続けるべきだと
強く、勧められたこともあり
その後
毎週一度は
オペラ座に通うことにした
ウィーンは音楽の都である
そしてそう呼ばれるには
理由がある
オペラ座の立見席は
3ユーロか4ユーロである
(今は値段が違うかもしれないが)
円換算をすると
為替の強弱を取り除くと
300か400円の感覚である
ウィーンフィルハーモニーの本拠地である
楽友協会ホール、Musikvereinでも
一流の演奏が
5ユーロから楽しめるのである
お分かりになるだろうか
音楽を学ぶ人たちは
気軽に
本物に触れることができるのである
だからこそ
ウィーンは音楽の都なのである
舞台装置の美しさ
計算された指揮者とオーケストラ
歌声の持つパワー
本物に触れる度に
私の耳も鍛えられていくのである
かくいう私も
オペラ座に週に一度か二度通うようになり
好きな作品や作曲家が
分かるようになってきた
ワーグナーが極めて好きなわけではないが
食わず嫌いになっては勿体ない
オペラ通いを通じて
学んだのは
そのようなことである
これは今から六年も昔の話である
そして、数日前の朝
友人に
私はワーグナーは苦手だと話したところ
その日の午後
運転中にラジオから
美しい声の合唱が聞こえてきた
それは
聞き覚えのある
音楽であった
結婚行進曲である
しかも大好きなウィーンフィルの演奏であった
そして同時に
実はこの曲を作った人が
ワーグナーであるということを
思い出した
ローエングリン(Lohengrin)のオペラの一曲である
食わず嫌いは
人生の可能性を
自ら狭めているのである
私はせめて
食べてから嫌いになろうと
改めて決意したのであった
今日はワーグナーを聞きながら
通勤したい
La Carrière -Mariko