店頭で出会った時の
ルブタンの形は
いたってシンプルな
ハイヒールである
けれど
それに足を入れ
共に歩くうちに
ハイヒールの皮が
足の形に
合って来る
私が愛用している
黒いルブタンは
今は2足である
その2足が
愛用、と言えるようになるまで
何度も履いて
足になじませて
ようやく
自分のものになっていく
ハイヒールの形が
自分だけのものに
なったという証拠でもある
皮でできた製品は
時間とともに
足と親和していく
合成革などでは
決して起きない
現象である
ハイヒールの方も
ユーザーを
試しているのだと
思うことがある
それは
なかなか思うような形に
変化を遂げない時である
歩きながら
一歩を共にしながら
ハイヒールと私が
一つになった証が
今目の前にある
ハイヒールの形なのだろう
La Carrière -Mariko