フラムクーヘンとカリーブルスト

ドイツビールの技法を学び
それを反映して作られた
クラフトビールのお店へ行った

店内はドイツ風というか
オーストリア風とも言おうか
典型的な現地の居酒屋スタイルであった

夫はフラムクーヘンを
私はカリーブルストを
それぞれ指名する形で
頼んだ

夫にとって思い出の
フラムクーヘンのお店は
ジュネーブのとある駅の前にあるそうだ
夫がジュネーブ在住時代
しかも生活し始めた頃に
よく食べたのだという

私にとっての思い出の
カリーブルストのお店は
ウィーンのオペラ座のすぐそば
有名なお店で観光客も多いが
そこでオペラを見る前に
サクッと軽いおつまみを
食べることができるのである

思い出の味は
国が違えど
こうして一堂に会することもあるのだと
不思議な縁を感じた

ヨーロッパ、という
不思議な国の融合体
本当に奥深いと思う

他言語の中
多文化の中で
国という仕組みで今は区切られた世界だが
歴史を辿ると
国境というものは
争いのタネであり

時に家族や親族を
永遠に分けるような
ものでもあった

けれど
文化を知れば知るほど
今私たちが知っている
国境というものが
人工的に生み出されたものなのかを
思い知らされる

思い出の味を口に入れながら
しばし
欧州大陸に想いを馳せる
夜であった

La Carrière -Mariko