ハイヒール姿のあの人は

すっかりオフィスで働くことが
なくなった私は
月に一度か二度
サインが必要な案件などのために
オフィスへ出社するのみである

ハイヒール姿で
オフィスへ向かう

オフィスの中でも
ハイヒールが履けるエリアは
限定されているが

そのエリアの中にいる限りは
ハイヒールで
歩き
ハイヒールで仕事をしている私である

ああ、貴女は
ハイヒールの人だと
とある人に
言われ

すっかり自分が
ハイヒールを愛していることが
公認の事実となりつつあることを
嬉しく思った

ハイヒール姿のあの人と
言われると
なんとなく
恥ずかしいような気もしていたが

今では
当たり前のこととして
受け止められるようになった

今度は
ハイヒールの私ではなく
美しく歩く人として
認知される日が来るように
努力しなければと思う

La Carrière -Mariko