ハイヒールの記憶

実に5年ぶりに
再会したその人に

Marikoと言えば
ハイヒール
変わってないねと
声を掛けられた

そんな風に
人から見られていたとは
実は
予想外の出来事であった

確かに
フランスから戻ってから
オフィスでハイヒールを
身に付けられる部署に
一時期、居た

その姿を記憶しているのだと
その人は言う

それは軽やかな足音であったり
颯爽と歩く姿であったり

人によって
何が一番強い
記憶となるのか
大いに違うものだが

それでも
ハイヒールの姿というのは
人の記憶に残るものである

高さのある
つまり
ヒールのある靴を
履いている女性は
少なくない

ただそれが
ピンヒールの人が
少ないというわけだ

だから
なかなか記憶に残りにくい

顔をマスクで覆う時代

自分という人を
表現する手段の一つが
ハイヒールなのかもしれない

La Carrière -Mariko