最初に開けたトランクから
120ミリのルブタンを取り出した
新しい家で
新しい歩みを始めるルブタン
パリで作られ
日本で私に出会い
メキシコを経て
また日本へ戻ってきた
そんなバックグラウンドを持つ
一足のハイヒールである
ただのハイヒールかもしれない
でも
私にとっては
ただのハイヒールではない
コンサルティングを共に過ごし
メキシコでの
楽しく
そして美しく
素晴らしい日々を
共に過ごした
相棒である
日本で始まった新生活は
正直なところ
メキシコで思っていたものよりも
はるかに
刺激のない
・・・と言えば美しいが
とてもつまらないものと
なってしまっていた
しかし
つまらなくしているのは
他でもない
私がそうしてきたのだが
一方で
自分が本当に望んでいることが
何なのか
見失いつつあるような
感覚でもあった
この感覚は
一体
どこから来るのであろうか
私はハイヒールを足に入れてみて
自分の軸が
軸として
正しいか問われているのかどうか
尋ねられているように
感じた
たかがハイヒールかもしれない
けれど
私の中にある
仕事に対する考え方や
家族を持つことに対する考え方など
自分なりに
答えを出していく必要があるのだと
なぜかハイヒールから
感じるのであった
やはり
ハイヒールと私は
切っても切れない関係なのだなと
思う
多分身体の中の軸と
自分の心の軸
そして生活の軸
こうしたすべての
生きている日々の行動に
自分の中で
確固たる何かを持たなければ
私は変わることができないのではないかと
思い始めたのである
変わることを恐れていては
人生は変わらない
そしてそれが何か
自分でもわかっている
行動あるのみだと
分かっているのに
なかなか行動できない
自分に
とても腹が立つが
それでも
重い腰を上げて
一歩を歩みだそうと思う
ハイヒールが私に教えてくれる
貴女の人生で
大事なものは
何ですか、と
La Carrière -Mariko