海外で働くという覚悟

最初に海外で働くチャンスを得たときに
捨てざるを得なかったものは
日本での結婚だった

結婚を今すぐしたいから
あなたが海外に行くというなら
別れるしかない

何年も付き合ってきたはずなのに
お互いの家族も知ったはずなのに
趣味も共有していたはずなのに

その一言で
私と当時の彼氏は別れることになった

彼氏が海外で勤務している間
日本で待っていた私は何だったのだろうか

何度もそう思った

でも今の私なら分かる
私の選択が間違っていたのだ
この男と結婚しようと思っていたことが
間違いだったのだ

互いに長くいるために
気がつかなかったのか
見えなくなったのかもしれないが
実は根本的な価値観が違ったのだ

私という存在は
彼にとっては結婚するという行為に劣ると
言われたに等しいのだ

二人の大人が新しい家庭を作るという決意をすることは
とても尊いことだと思う

しかし
残念ながら
互いの夢ややり遂げたいこと
住みたいと思う土地や
住まなければならない場所

そうした理由で
同じ場所に住めないこともあるだろう

もちろん
共に住めることにこしたことはない

しかし、結婚とは
これまで以上に
お互いを知ること

さらには
妥協することも増えることを
受け入れる努力をすると
誓うことだったはずだ

彼はただ、結婚がしたかっただけだった
相手は誰でもよかったのだ
私である必要がなかったのだ

別れたあと
失ったものの大きさと
これまでの思い出の全てが
私を苦しめたが

結果として
人生で最良の一つともいえる
決断だった

私は一人で生きることを決め
海外で働くことを決意した

世界には
もっと多様な価値観を持った人がいるだろう
結婚という行為にこだわる人ではなく
誰と家庭を築くかにこだわる人が
いるに違いない

そう思って、私は日本から飛び立った

日本から飛び立つということは
親しい人たちの死に目に立ちえない可能性も高い
困っている時やいざという時
病気で苦しんでいる親類や友人たちを
簡単に見舞うことすらできない

そして

困ったときに頼るのは
まず、自分自身であること

その覚悟があれば
海外で働いていける

今は価値観の合う家族にも恵まれ
困ったときに頼りになる仲間も
たくさんいる

日本を飛び出たときの私とは
全く違う私である

それでも
いざというときは
まず、自分を頼りにする覚悟だけは
変わらない

どんな困難にも負けないという気持ちと
自分を信じて頼るということを
決して忘れないこと

くじけても良い
倒れることもある
負けてしまうこともある

だけど

また立ち直って
自分を信じるという誓いに
戻れるかどうか

その覚悟を決めることだ

そうすれば
それ以上に得られるものがある

知らなかったこと
見て初めて分かること
新しい言葉や食べ物
価値観の違い
文化や習慣の差

そして
これまで知らなかった自分にも
出会えるはずである

最初に捨てた結婚も
今では私の歴史の一部である

きっと
今の家族に巡り合うために
必要なできごとだったに違いない

 

La Carrière -Mariko