私自身
女性らしく振る舞うことは
苦手だった
物心付いた頃から
スカートは身に付けなかった
いつもパンツ姿で
髪の毛だけは長かった
ショートカットにしてみたいと言うと
髪の毛くらい長くないと
女の子と思われないんじゃないかしらと
母親にも言われるほど
活発で男まさりで
王子というあだ名があったほどである
そんな私が自分の指先が
美しいのだと
知る出来事があった
大学のゼミの教授と仲間たちと
フランス料理を食べに行った際に
貴方の指は美しいねと
パンをちぎる指先を見て
言われたことである
大学の指導教官は建築家でもあり
美のセンスに長けた人でもあった
その時
大学生ながら
少し背伸びをした大人として
見られたいという思いから
確かに私はパンをちぎりながら
いかに美しくパンを食べるか
気にしていたのも事実であった
この教授の発言を
セクハラと取る人もいるかもしれないが
私は、素直に受け止めた
なるほど
私の指は細く長く
美しいのだと
理解したのである
自覚はあった
指は細長く
形も悪くない
でも
美しさを出す道具であることを
この時初めて認識したのである
そして、確かに
意識をして何かをすると
必ず
効果が現れることを
思い知ったのである
エレガンスであるためには
指先までの
意識が必須である
それは手だけではなく
足も同じである
足の爪先までも
意識を込めることである
ハイヒールを履いている時だけでもいい
足と手の指先まで
意識を込めて歩いてみて
いただきたい
いかに私たちが
無意識の中で
生きているのかが
わかるはずである
エレガンスであるためには
意識を指先、つま先にこそ
込めることである
無意識の世界を
いかに意識するのか
そのことに尽きる
La Carrière -Mariko