不安な時こそ脳科学を-5

病院へ行く日の朝
仕事を淡々とこなし
あまり考え事をしないでいいよう
夢中になれそうな
本を買って読み始めた

脳科学を使うと
未来は変えられる

確かに運がよかっただけとも言える

けれど私は
母になるために
こんな試練はいらない

きっとこうして経験したことが
何かに役立つはずだと
ただ信じることにした

そして苦しみながらも
母になる覚悟
なりたいという自分の気持ちの
強さと濃度を
さらに上げていったように思う

そして診察の結果
経過観察が大事とはいえ
今すぐに命や母になるチャンスを
失う可能性が低いことが分かった

もうそれだけで
私は
充分であった

もちろん
まだこの先
経過観察は続くのだが

それでも
私は確信した

ああ、これはきっと
自分の気持ちが
ゆるぎなきものであるということを
気付かせるための
試練だったのかもしれない、と

脳科学を駆使するための
小さな修行ではなく
大きな試練であったが

なんとか
その危機を脱することができた

自分の人生を
いかにコントロールするのか
もっと学ばなければとも思った

そして
いかなる試練も
乗り越えるためにあることを
思い知らされたのである

La Carrière -Mariko