返ってきた、ピアス

世の中でマスクをすることが
常識となりつつある今
私も仕方なく(好きではないため)
マスクを着けることになった

付けはずしをする際に
ピアスが取れやすいことに
気が付いたのは
付け始めて早々の出来事であった

会社の中で、ふと
自分の耳からピアスがなくなっていることに
気が付いた

耳の後ろに
むなしくキャッチ部分だけが
残されていて
飾りであり
メインのパールの部分が
どこかへ行ってしまっていた

ピアスは本当によくなくす
今回も出てきたら
ラッキーと思うしかない

会社で落としたのか
それとも通勤途中なのか
それすらも、もはや分からない

会社の中であればまだラッキーだが
外で落とした可能性もあるため
発見するのは絶望的と思っていた

それでも一応
周囲の人たちに
ピアスを見かけたら教えてくれとだけ
声をかけておいた

翌日もまた
なんとなく床を見たりしながら
気にかけており
とりあえず守衛にだけ届け出るかと
思っていたところ

偶然私に相談を持ち掛けた男性がおり
その人と話していると
隣の席の女性が席に戻ってきた
そしてしばらく仕事の話をした後に
ところでMarikoさん
このピアスに見覚えはありませんかと聞かれたのである

見た瞬間に
私の耳についていた
相棒であることが、分かった

昨日から探していたことを伝えると
奇跡だわ、と女性も喜んだ
彼女の席近くで拾った人が
託けたようである

彼女も誰か心当たりがないかなと
探し始めたばかりで
まさか一人目で持ち主に当たるとはと
驚いていた

こうしてピアスは私の手元に戻ってきた

探し物をするとき
出てくることを想像するといいと言うが
絶望的な時ほど
想像力を働かすことが
求められているのかもしれないと思う

小さなことかもしれないが
こうして
成功体験を積み重ねると
少しずつ

自分の脳がトレーニングされているのかもしれないと
思う

今の私は
医学的にかなり絶望的な数値ばかり見て
子どもを持つことができないかもしれないという
恐怖と戦っている

それでも
可能性はゼロではないのだと
多くのドクターや支えてくれる鍼灸師の方が
言ってくれる

偶然の重なりが奇跡を生むという

恐怖から目をそらして
偶然の積み重ねを
どのように成功させるのかに
意識を集中させたい

La Carrière -Mariko