このオフィスに
ルブタンなんて
勿体ない
とある女性が私に言った
確かに
勿体ないのかも、しれない
ルブタンの靴のことを
知らないひとばかりだからという
主張も理解ができる
しかし
ルブタンの価値を
誰かに分かってもらうために
私は身に付けているわけではないことを
彼女は知らない
私自身が
ルブタンを身に付けるに
値するような
人であるか
それを自分に問うために
私はハイヒールを
身に付けているのである
今のオフィスで
ハイヒールを
身に付けても良いことになったのは
事実であるが
ピンヒールを
身に付けている人は
皆無である
多少かかとのある靴を
身に付けている人もいるが
ピンヒールを
わざわざ履こうというのは
私くらいなものである
黒いルブタンは
私にとって
制服のようなものでもある
自分の足に合うようになった
ルブタンと
新しく手に入れたルブタン
この二足を上手に
日々、使い分けている
ハイヒールを履いている私は
ルブタンに
勝負を挑んでいる私でもある
この靴に見合うだけの
女性であるかどうか
試されていると思っているのだ
ハイヒールは
嘘をつかない
軸のない女性には
履きこなすことが難しいものでもある
次に
同じような話になったら
こう、伝えよう
ハイヒール、試してみませんか、と
それは貴女とハイヒールとの
真剣勝負ですよ
と
La Carrière -Mariko