紅一点から好一点へ

イベントでのテープカットなど
仕事がら頼まれることがある

年に何度かある大きなショーの場で
関係者が二十名ほど並んで
テープカットをすることがあった

参加者のほとんど男性で
私より背が高く
体格も良い

アジア人である私は
どうしても小さく見えてしまう

たとえ紅一点であっても
大きな男たちの中でまぎれてしまう

そんな時に活躍するのが
ハイヒールである

私は赤い十センチのハイヒールで
ステージに立った

いつもより高い視点からのながめを楽しんでいると
ショーの司会者から中央へ案内される

もちろん女性であることも有利に働くが
ハイヒールを身に着けていると
テープカットのシーンが
雑誌などのメディアに出ても
堂々として見えるのである

司会者の隣には露出の高い
キャンペーンガールたちが付き添っていたが
結局テープカットのシーンで
彼女たちが中心の姿はSNSの露出に使われ
私の立ったシーンは雑誌や新聞に使われることになった

ハイヒールは人目をひくだけではなく
堂々と立つための自信を与えてくれる
さらに
色遣いで、個性を際立たせることもできる

テープカットのあと
経ち去り際に
ショーの主催者から声をかけられる

ステージ脇で待機していた部下と合流し
次のビジネスチャンスにつながる
名刺交換をすることができた

人間なので
緊張や震えがくることもあるだろう
しかし
堂々とたちふるまうことで
他人の目に映る姿は
大きく違うのだ

紅一点ではなく、好一点となるために
ハイヒールは偉大な武器となる

La Carrière -Mariko