二人で住むことに、向かう

仕事の都合で
別々の国に住み続ける私と夫であるが

今回、高度生殖医療を受けることを理由に
日本に帰ると決めたことをきっかけに
夫婦の形を
一度は見直そうと考え始めた

確かに一度は一緒に住みたい

学生時代のように
一緒にいたいから
同棲するのではない

大人になってから
共に暮らすのだから
それはそれは
小さないざこざが毎日にあるだろうと思う

正式に入籍には至らなかったが
家を持ち
これから共に生活することを考えていた
20台の大半を過ごした彼氏でさえも
一緒に暮らせるのだろうかと
思ったことが
いくつか、ある

それは
洗濯を終えた後のタオルを
どのように片づけるか、並べるのか
というやり取りである

洗濯を終えたものと
今棚にあるものを
常に入れ替えて欲しいと
言われたことである

一部の読者の方にとっては
当たり前のことかもしれないが
私にはとても新鮮であった

というか、むしろ使う方が
気を遣えばいいと思っており
タオルの位置で判断すればいいと
思っていたのであるが
そういう常識は
彼には通じなかった

それから
洗い物をいつするのかという
問題も、あった

私は温かいものは
温かいうちに食べてもらいたいのである
しかし彼は
使い終わった鍋をきっちり洗い終えなければ
食卓に着きたくないという人であった

私はこれが
結構ショックであったことを
未だに覚えている。

確かに焦がしてしまった鍋は
できるだけ早めに
なんとかしなければならないのだが

やはり
造り手の思いとして
温かい料理を温かいうちに
食べてもらいたいのである

そんなしょうもないような
お互いのこだわりが
毎日の対立を生む

今の夫とも
きっと同じようなことが
起きるだろう

でもあの頃とは違う

私たちは大人なのだから
妥協をし合うことを
大事にしなければと思うのだ

妥協は決して悪いことではない
互いの折り合いがつく
ちょうど良い
心地の良い場所を
探すことなのである

夫と共に日本で生活してみようと
とりあえずは合意した
実際の実現は
もしかすると
1年後かもしれないが

明らかに海外暮らしの長い二人が
狭い日本の家で暮らし始めるわけである

果たして

この物語がどうなるか
私は楽しみでならない

La Carrière -Mariko