砂漠が水を飲むように

私はもともと
マスクが嫌いである

鼻の周りが
覆われてしまい
気持ちが閉じてしまうのである

他人がしていると
人の表情が見えないことも
ストレスになってしまう

そのため
予防のためにマスクを使う習慣が
あまり、ない

幸いなことに花粉症とも無縁であり
ありがたいことに
マスクは
自分が本当に病気になった時にしか
使ったことがない

もしくは乾燥した飛行機の中
長距離フライトの睡眠時である

だから
マスクをして一日を過ごすのは
本当に苦痛でしかない

6月から
オフィスに戻ったのだが
マスク着用が
義務付けられている

ニュースをご覧になっている方も
いらっしゃるかもしれないが
メキシコは
今まさにCOVIDの
感染者数が本当に増えているところである

世界が第二の感染に騒ぎ出そうというのに
メキシコはまだ
第一の感染が
広がり続けている現状である

そんなこともあってか
私は土曜の朝の
ハイヒールレッスンを
待ち望んでいた

今のオフィスでハイヒールが
履けないこともあり

在宅勤務期間の間
毎日のように
12センチのルブタンに
脚を入れていたことを思うと

砂漠が水を飲むかのように

高さのある
ハイヒールを
求めていた

これほどまでに
レッスンが愛しいとは

毎日の生活の意識が
土曜のレッスンに
全て出てしまう

レッスンでの出来栄えは
決して良いとは言えないが

それでも
ハイヒールのレッスンで
気持ちと心と
身体が整うのを
味わえるのは

本当に幸せなことだと
痛感した

砂漠が水を飲むとは
こういう感覚なのだろう

レッスンは
瞬く間に終わってしまった

来週がすでに
待ち遠しい

マスクをしている自分が
あまり好きになれないこともあり
どこかで
自分を肯定したいと思っているのだろう

ハイヒールは
すでに
私の日常の一部に欠かせないものに、なった

La Carrière -Mariko