秘書は、役員の右腕でもある

秘書という仕事に
憧れを持っている後輩女性がいた

当時彼女は正式な秘書ではなく
該当の役員が
彼女のいる建物に出張してきた際に
受け入れる担当窓口を担っていた

役員報告のために
どうしても30分の時間が
必要だったので
彼女に相談に行くと
当然ながら
何のための報告ですか
と聞かれるものである

その際は
新商品の開発の報告だったため
開発プロジェクトの名前を告げたところ
それは何のプロジェクトでしたっけと
彼女から質問をされた

この時
私は彼女に丁寧にプロジェクトの説明をしたあと
重要なプロジェクトの名前と中身は
覚えておいた方がいいとアドバイスをした

その理由は明確である

秘書という仕事の中には
会社の中で最も高給取りの人の時間を
管理する仕事が含まれている
その自覚が足りない、と感じたからである

日本企業の多くがそうなのだろうと思う
秘書の仕事と庶務の仕事を
一緒にしてしまいがちである

会社であれ個人事業主であれ
庶務と呼ばれる仕事は
存在する

公的な書類を作ったり
処理をしたりする仕事は
どうしても発生するものである

出張の航空券の手配や
ホテルの手配なども同様である

しかし、それだけが秘書の仕事ではない

本当は秘書ほど身近な場所で
経営トップの人々が何を考え
どのような基準で物ごとを判断しているのか
学び、感じられる仕事はない

とある会社では
若手の将来有望なスタッフが
入社五年目くらいになると
秘書として数年間
役員のそばで働くのだという

この話を聞いたとき
私はとても納得した

経営トップが
どのような視線で社会を見
どのような物差しで判断を下しているのか
身近で感じられる場が
目の前にあるのは
秘書の特権でもある

雑用係などのために
人を雇うような余裕のある時代ではない今

秘書が担う役割は
単なる事務作業員ではなく
役員にとっての
頼れる右腕のような存在にもなりつつある

会社経営への
直接的なアドバイスを
秘書に求めることはないかもしれないが
他社との関係や
経済状況や取引先との問題などを把握し
適度に情報を提供していけるような人を
秘書に持つべきだと

とある会社の役員が
発言されていた

成功をしている人たちの話を聞いていると
人材を活用することを
きちんと主軸に置いている
秘書は彼らの雑用係ではないし
庶務の担当でもない

このような理由から
私は会社の中の
秘書の方々を
実は大変尊敬していたりするのである

私が後輩にアドバイスをしてから
約10年が経った今

彼女は立派に
秘書として活躍している

そして
あの時の言葉を大事にしていると
言ってくれた

またいつの日か
彼女とも仕事を共にする日が来るだろう
その時は
今以上に
洗練された仕事のできる女性に
なっているに
違いない

La Carrière -Mariko