引き算の世界

美しさとは
引き算の世界だと
私は考えている

今あるものに
何かを足す

それもまた
飾りつけを重ねながら
美しさを追求する方法ではあるが

ハイヒールで
美しく歩くとき
特に引き算であることを
感じるのである

美しく歩くためには
余計な力を抜く
必要な筋肉に力を入れる必要がある

そしてそれは
方程式の放物線のように
美しい流れが必要だ

その美しい方程式を描くためには

今自分が持っている悪い癖や
もともと正しいと思っている姿勢を
まっすぐに
もしくは
正常な位置へ戻していく作業が必要であり

主にその癖を
取り除くことが
トレーニングの中心となるからでもある

自分が直線と思っていても
身体はまっすぐではない

逆に
曲がっていると思っている姿勢が
直線に見えていたりするのである

そしてそれを
毎回ビデオで確認し
自分の身体に
覚えてもらうのである

私たちは美しくありたいとき
一生懸命
着飾ろうとする

ロングドレスであったり
絢爛豪華なアクセサリーであったり
高価なバッグや靴
化粧などである

これら一つ一つは
足し算でもあるが
掛け算でもある

そして本当に美しさを
醸し出すのが
実は所作であり
動作でもあることを
忘れてしまいがちなのである

一歩を踏み出す前に
着飾りすぎた自分ではなく
素の自分に戻り
まっすぐに歩けているのかどうか
確認する必要がある

飾りをはぐ、ということは
引き算である

そう
自分自身の美しさを出すには
引き算が必要なのである

私はハイヒールで歩きながら
そんなことを
考えている

飾りをまとうことだけが
自分を美しく見せる技ではないことを
誰よりも
理解し、実践したいと思う私の頭の中は

そんな理論でいっぱいである

La Carrière -Mariko