メキシコを出る際に
アメリカの上司が
私にテレビ会議越しに
言った言葉を
今更ながら
思い出している私がいる
仕事はさ、期待していないから
だってさ
頑張られたら困るじゃん
なんで貴女を日本へ帰すのか
意味がなくなっちゃうじゃんね
身体第一なんだからさ
という言葉である
文面だけを取ると
なんて奴だと
思われも仕方がないし
そのように
受け取る人がいて
当然である
しかしこの上司は
本当に口下手なのである
このテレビ会議が終わった瞬間
私は自分の後任となる人と二人で
大爆笑することになる
本当にこの人は
どこまでも愛情深くて
口下手なんだろうね
私、こういう上司にだけはなりたくないな
でも、気持ちの熱さは
これくらいの構えで行きたいね
そうだね
本当に愛情があることだけは分かるけど
口下手だよね
二人でそんなことを言い合った
本当に世の中には
口下手な人というのが
存在するモノである
そしてさらに続きがある
頑張るなと言っても
貴女は頑張っちゃうでしょう?
だからさ
そこそこにするっていうことを
ちゃんと学習してよね
後から届いたメールの中に
そんな言葉が入っていた
私が日本に帰りたいと
苦しい決断をした時
一番の理解者でもあった人である
だからこその
メッセージ
私はこのメッセージを
大事にしながら
仕事に向かおうと
思う
ついつい頑張ってしまうのは
性格だから
仕方がないのだが
それをあえて辞めるというのも
とても難しいことでもある
しかし
これは美学も同じで
意識するか
意識しないかで
きっと変えられることでもあるのだろうと
思っている
決して仕事の手を抜くつもりはないが
身体のことを第一に考えられるように
心がけたいと思う
そして
もしかすると
貴女の上司も
口下手なだけかもしれない
そう思ってみると
世界が少し
変わる可能性も
あるのかもしれない
愛情にあふれるが故に
あまりいい言葉を
掛けられない人がいることを
忘れないでいようとも
思う
La Carrière -Mariko